6/3(火) 夕刻。
梅雨入りを予感する小雨の中、
アトリア参宮橋で
ワタシクリエイトスクール(WCS)
特別講義が開催されました。
ご登壇されたスピーカーは
一般社団法人 Integral Vision Practice 代表理事
鈴木 規夫さん。
ファシリテーターは
Atlyaの顔役“さわこし”こと井尾佐和子さん。
題して
【人が成長するとは、どういうことか】
日常的にもよく使っている“成長”の二文字ですが
「人の成長ってどういうこと?」
と面と向かって訊かれると言い淀んでしまいます。
身体が大きくなること?
能力が上がること?
人に優しくできること?
人の前向きな変容と自己探求を扱うWCSでは
”成長”は切っても切れないキーワードです。
人が成長するって、
いったいどういうことなんでしょうか?
鈴木さんの静かな語りが始まりました。
◆人は、でこぼこな存在
アカデミックな世界では
いわゆる私たちが成長と呼ぶものは
発達/Debelopmentと呼ばれるようです。
人間の発達を科学する発達心理学では
『人は老齢になっても発達することができる。
ひとりひとりが持っている可能性を
探求し現実的に開花させることが大切』
という考え方がトレンドだそうです。
人は生きている限り成長し続けられるから、
何かを諦める必要はない、
と言い換えられそうです。
発達には3つの領域があるとのこと。
①認知の領域
スキルや術など積み上げて訓練できる領域。
また優劣をつけられる領域でもある。
例:100メートル走のタイム、交渉術など
②実存の領域
アイデンティティや心の在り方の領域。
WCSでよく扱うことになる領域。
優劣をつけられるものではない。87.96
例:陸上競技にかける情熱、
ビジネスへの思い入れなど
③超越の領域
悟りや宗教的視点のような領域。
積み上げた能力や人生の長さに影響されない。
鈴木さんは続けます。
「優れたスキルを持っているけど
悟りには全然至ってない人だね、
とか
宗教的な悟りは得ているんだけども
実際に生きていく術は持ってない人だね
という風に
人間にはいろんなタイプがある。
人はでこぼこな存在です。
簡単に価値を測れるようなものではない
ということを覚えていただきたい
と思います。」
◆大人も成長ができる理由
認知の領域(積み上げて伸ばせるスキル)
について話が進んでいきます。
中でも面白かったのは
どんなに高いレベルの話をしていたとしても
その礎(いしずえ)となる基礎がないと
成立しないということ。
スポーツ選手のプレイも
基礎となるのは単純な走る力や
バランスをとる力などの基礎能力です。
基礎部分が弱いと高度なプレイを
しようとしてもうまくいきません。
同じようなことが
例えば子供たちの学校での学習にもいえるそうです。
いきなり『犬は哺乳類』だと
知識だけを教えるよりも、
実際に犬を飼ったり犬に触れたりして
具体的にどんなものかを知った後で
知識を教える方がはるかにしっかりと学習できるそうです。
「大人になってからでも
足りない基礎を学び直すことはできるのですか?」
参加者から質問が出ます。
「はい、可能です。
一番成長が促されるのは“あっそういうことか!”と
過去の知識や経験と新しいものが結びつくときです。
あっとひらめく感覚を
どれだけ増やせるかが大事なので
学びには必ず感情が必要です。
それは大人や子供は関係ないんです。」
質問と回答が飛び交って
盛り上がったまま時間切れとなってしまいました。
◆交流会へ
鈴木さんとtsugugoto cafeの晩ご飯を囲んで
場は交流会になっていきます。
ここでも参加者のみなさんはまだまだ
鈴木さんのお話を聞きたい様子。
印象に残ったこと、もう少し深く理解したいこと。
講義とはまた違った少しリラックスした空気で
話は弾み、あっという間にお開きとなりました。
◆成長の余白と応援
WCS特別講義
「人が成長するとは、どういうことか」。
今回聞くことができたお話は
対人支援を行う管理職やコーチ業の方だけでなく
職場の後輩や子供たちを育てるほぼすべての人に
人が成長するための余白や
優しい眼差しを向けることの大事さが
語られていたように思います。
人は急いでは成長できない。
それでもじっくり待って育めば必ず成長できる。
それは、ワタシ自身にも言ってあげられること。
人とその好奇心に対する
鈴木さんのあたたかいメッセージに触れるような
応援をそっと受け取ったような気がしました。