「わたしは書かないんです、みんなが書くのを促すのが仕事です」
それが、わたしの使命、役割、そう思っていたけれど、それは違いました。
幼少期から好きで習ってきた書道で、師範をとってから味わったのは、自分の基準で自分の字にOKを出せないというつまづき。
公募展というもののしがらみ、いつまでも一人で判断できない感覚、自分を堂々と出せない感覚、この世界の中で褒められることでだけになってしまっている違和感、、、。
ところが、子どもたちや障害のある方々と一緒に書くことが増え、自分の中で考えていた「書道」も、本当に狭い世界だったことが分かり、そもそも自分自身も、本当にただただ書くことが好きだったことが思い出されるようになってきました。
ああ、ただ本当に筆が面白いと感じていた
真っ直ぐ描いたらどこまでいくのか
線の美しさに心奪われていた自分自身
思い通りに書けるようになる楽しさ
そんなことを感じるようになって、参加してくれる方々も大人の方が増え
「自分のやりたいことをやり切る感覚になります」
「自由って結構難しくて、でも自分でOK出せるようになってきました」
なんて言葉を、聞くようになりました。
「じぶんのものさしを大事にして生きる」という大人が増えていくこと
誰でも調子に乗れる、というテーマはまさにそこだなと思い、場を作り続けました。
あるとき、書家・美術家である尊敬する方から、「あなたは書かないのか」と言われ、自分自身が本当の意味で対等ではないことを見抜かれた気分でした。個人セッションの中で、あらゆる角度で感じていること、考えていることを開示していく中で生まれてきたことがありました。それでもなお、わたしは自分の「文字」がなかなか見つからなかったのです。
アトリアのコアクルーとしても、わたしの在り方とはなんだろう、と悩む時期と重なり、もやもやとしていた頃、「アトリアで個展」というワードがさわこさんから出て、そうですね、と言いながら、いやいや、それは夢だけどね、とそれでもなお、本気でそこに行こうとしない自分がいました。
「わたしを出す」ということになりそうで、それがただただ怖かった。
みんなが書いているのを見ることで、わたしはどこか違う場所から距離をとっていた。
わたしは表現するのが本当は怖かったんだ、とあるとき気がつきました。
評価されないこと
期待を裏切ること
相手の意図に沿えないこと
がっかりされること
それを見たくなかっただけ。
いつも逃げてうまい位置で立ち回る自分は、もう終わらせたい。
そう思っても、なかなか本気で自分も他人も信頼できないこの感覚はどこかでずっと引きずっていた気がします。
公開ドライブセッションの最初はビジネス的な部分を全くわかっていない自分が恥ずかしいとか、今更何も知らない自分が腹立たしい、と感じる自分がいました。ところが何を自分が言おうとも、さわこさんが本気で考え、さらには完全に自分のやりたい方向をぶれないよう、ずれないよう、守ってくれるような出席しているクルーのエネルギーを感じ、ふっと力が抜けたことがありました。
そこにはもちろん、一緒に進んで、試行錯誤している仲間がいて、細々とした自分の不得意を見ていてくれる仲間もいる、、、、。大人になって、こんなに自分の力を抜いていける場所ってあるんだろうか、、、、。
そんなことを思いながら、ひとつずつ進めてきて、画像やデザインもこれまで一緒にやってきた仲間に丸ごと任せて、対談やワークショップなどやりたいことをお伝えして、本当に自分のやることを「書くだけ」にしていくことで生まれたのは、ただただ、自分の存在への信頼と、相手への信頼、それだけでした。
まだ始まってもいない個展について、まだ展示するものをすべて揃えてもいないのに、あるのはただ安心感、、、、。
書の線は、わたしの目の前にただ現れて、その瞬間にわたしの手を通して紙に乗ってくれるだけ。切り取られているだけで、本当はもっと永遠にどこかに続いている一部、という存在なのだと思うと、「個展」というものは、それはただわたしの日常の一部、延長上にあるごく自然な流れの中の一部、を、アトリアに存在させてもらうという営みなのかもしれないと思い、本当に「わたし」であることを全開していこう、と思いました。
「教育を変えたい」などと考えてきたけれど、そもそも自分自身の変容を知り尽くし、そのありようを伝えていく自分自身を育てることが、「教育」なのかもしれない。それを見せていくこと、魅せていくこと、なのかもしれない、、、、。そんなことすら、考えるようになったとき、モリソンこと森本佑紀さんが対談を引き受けてくれることになり、ここで再会できるという奇跡。
淡々とお伝えしてしまっているけれど、今、心の中は本当に愛と感謝に溢れ、満ちています。
個展=お会いして愛を伝える期間、なのだな、としみじみとしています。
どうぞ、出会っていただければ嬉しいです。
詳細はどんどん、更新していきます。
2024/07/27 19:06