アトリアでは社会への循環活動も大切にしています。
そのひとつは映画から世界を知り対話によって深掘りしていく『Atlya Social Cinema Dialogue』
バレンタイン直前の週末に、ドキュメント映画『バレンタイン一揆』を上映しました。
カカオ農園の児童労働問題、問題を目の当たりにした日本の少女たちへの眼差し、そして”今”ここに在る映画の主人公たちと自分。
いろいろな角度から捉えた参加者のリポートが届いています!
【mikiさん】
2023年2月11日、前日の雪が嘘だったような快晴の土曜日にAtlya参宮橋にて『バレンタイン一揆』の上映会 兼 主人公ゲストトークが開催された。
参加者は10代〜50代の総勢20名強。
特に20代の参加者が男女ともに目立ち、児童労働やフェアトレードに対する現代社会が生み出す矛盾への関心の高さを感じた。
日本の3人の女子学生がガーナに飛び、貧困に喘ぐ地域から強制的にカカオ農園に連れて来られ、労働させられてきた子供たちの生活・歴史を知る旅。この旅を通じて彼女たちに起こる変化を追ったドキュメンタリーだ。
学校に通う事もなく、1日中灼熱の太陽が降り注ぐカカオ農園で働くチョコレートを食べた事がない子供や大人たち。
15歳の少年の詩にはこのような文章があった。
「カカオ農園しか知らない自分の生活、自分はなんのために生きているのだろう。こんな自分を誰も気にかけてくれない」
そのような悪循環を食い止めようと立ち上がったNGO団体 ACEの活動にも焦点を当てながら映画は進んでいく。
その代表ナナさんの言葉は痛いほどリアリティに溢れていた。
「子供の児童労働をなくすにはまず、親に教育の大切さを教えること。そしてそれには力ではなく、対話を通じた話し合いで納得してもらうこと」
「日本の皆さんが衝撃を受けたこの事実が私たちの日常。」
この映画が伝える問題に対してのそれぞれの感想や私たちにできることについて後半のゲストトーク、参加者同士の対談を通じておこなった。
以下は参加者の感想の一部
「問題を可視化することの重要性を再認識した」
「フェアトレードの現場に行きたい」
「伝えたいことを伝えることの大変さを感じた」
「進んでフェアトレード商品を買いたい」
「商品の背景をもっと知りたくなった」
「知ってしまった責任、そして行動に示す勇気を感じた」
下記3名の対談では「分断」「繋がり」に加え「循環」というキーワードが出てきた。
・渋谷区区議会委員 神園まちこさん
・映画の主人公の一人、一般社団法人青草の原代表理事 れもんはうす運営
藤田琴子さん
・映画の主人公の一人、小布施町図書館 滋賀ありかさん
知らない、ということで「分断」を産み
知ろう、とすることで「繋がり」が生まれ
繋がりの中で人の居場所を作り、議論や熟考することで「循環」につながる
だからこそ老若男女みんなが集える場所、ポリティカル・コレクトネス(正解や答えを出す)ではなく、好奇心や想像力を育みあえてタブーに切り込む「考える場・考えさせる場」が重要なのではないか、という話題が出た。
今回のゲストの3名も三者三様で場づくりに真剣に取り組んでいる方々、そして会場となったAtlyaもまさにそのような場所。
参加者が同じテーマの映画を見、その感想を語り合うことによって生まれた循環。すでにこの時点で会場内は温かな空気に包まれていた。
分断から繋がりを通じて循環へ。
争いや差別のない平和で平等な社会へ。
知ってしまった以上、一歩ずつでも丁寧に現代社会の歪みを修正していくことが現代に生きる私たちの責任であり、行動に表す勇気が試されるのかもしれない。
I児童労働について
今まで児童労働という言葉を聞くこと自体は多く、なんとなくのイメージで貧しい子供が
働き生活していることというぼんやりした認識しかしていませんでした。ですが、今回の映
画をきっかけに、児童労働の恐ろしさ、過酷さを認識でき私たち若者がしっかりと向き合わ
なければいけない問題だと感じました。特に考えさせられたのが、学校に行くことが難しい
環境の中で学校に行きたいと願い、将来のビジョンを明確に持っている事でした。私はなん
となく学校に行き、将来やりたいことも決まっておらず、無駄な時間を過ごしてしまってい
ると実感しました。そして、この簡単に学校に行けてしまう環境に感謝が出来ていないこと、
このように簡単に学校に行き、何も考えずに生活していることが当たり前だと思ってしま
っていることに気づき、深く反省しました。そして、当たり前に思わないこと、感謝して過
ごすことで将来のビジョンも見えやすくなるのではないかと考えました。
II私たちにできること
私たち(学生・若者)に出来る事として、フェアトレード商品を買う事は勿論だと思います
が、生活があったり、金銭的な事情でフェアトレードを買い続ける訴求を行うのは限界があ
ると感じました。しかし、それで諦めるのではなく、SNSを用いて児童労働の恐ろしさや
現状を発信・共有を行い、若者やスマートフォン持っている全員をターゲットに認識しても
らい、お金に余裕があるひとが一人でも多くフェアトレード商品を選んでもらえるように
することが出来るのではないかと考えました。
また、若者に児童労働の現状を知ってもらうことで、お金に余裕が出た時にフェアトレード
商品を選ぶことや、児童労働の改善に取り組んでいる企業に就職など、自分の将来にも幅が
広がると考えられます。直接出来る事は少ないですが、できる事を精一杯行っていきたいで
す。
最後に、「ブラックサンダー」が輸送費や梱包費を切り詰め、同価格なまま児童労働撤廃の
対策をとったものにすべて切り替えたように、国内のすべてのチョコレートが児童労働ゼ
ロのチョコレートになってほしいと思いました。
貴重な機会をありがとうございました。
【学生ボランティアサークルで活動中のMiuさん】
私はドキュメンタリー映画を観る機会があまりなく、主人公の3人が自分と近い年齢だったこともあって非常に共感できる部分が多い作品だった。
特に、実際現地に赴いてカカオ生産地の現実と自分が普段食べているチョコレートのギャップを肌で感じた3人を見ていたら、自分も同じリアクションをするだろうなと思った。
知識として頭で知った気になっているのと、実際自分の目で見るのとでは全く意味合いが異なるだろう。
自分の肌で感じる分思いも強くなると私は思う。
バレンタイン一揆のような現実を変えたいという思いを持って行動することは素晴らしいことなのに、成功することが少ないのは、各々の思いの強さに差が生まれてしまうからなのだろう。
このジレンマが少しでも小さくなるように、個人がそれぞれ他人に思いやりを持って生きる世の中になってほしいと思う。
この度の映画上映会を通じて、映画の内容だけでなく、新しい出会いからも素晴らしい生き方をたくさん学べてとても有意義な時間を過ごすことができた。
是非また参加したいと思う。
次回のシネマ ダイアログは3月25日(土)を予定しています。
映画を通してそれぞれの人にそれぞれの”ワタシ”が在ることを知ること。
それもワタシクリエイトの大きな気づきですね。
お楽しみに☺︎!